歯周病の原因を根本から除去する組織付着療法
組織付着療法では、局所麻酔を使用して歯周ポケットの奥深くにある歯周病菌や歯石、汚れなどを徹底的に除去します。組織付着療法では、メスを使って歯ぐきを切開したり、骨を削ったりすることはなく、骨や歯ぐきの形を変える処置も行いません。目に見えない歯ぐきの奥に溜まった汚染物を除去することで、歯ぐきと歯根をくっつかせ、歯周ポケットを浅くすることを目的とした治療法です。
フラップ手術(歯肉剥離掻爬手術)
歯周ポケット掻把術では、歯周ポケットに専用の器具を入れて汚染物を掻きだしますが、歯周ポケット内部を目視できないためどうしても手探りの処置となってしまいます。そのため、施術者の技量によって仕上がりが左右され、場合によっては汚染物を取り切れない可能性があります。
そこで行うのがフラップ手術です。麻酔を使用したのち、歯ぐきを切開して歯ぐき内部を目視できるようにします。目視下で処置するため、確実に汚染物を取り除けるのです。
Before
After
主訴 |
歯がぐらぐらして気になる |
治療期間・回数 |
2年・20回 |
治療詳細 |
歯肉弁を剥離、翻転後デブライドメントを行い、骨整形後縫合した。 |
費用(税込み) |
左上フラップ手術の費用:495,000円 |
デメリット・注意点 |
ブラッシングがきちんとできていないと治療が奏功しない可能性がある |
失われた歯周組織を再生する歯周組織再生療法
歯周組織とは、歯を支えている組織(歯槽骨、歯肉、歯根膜、セメント質)のことです。歯周病が進行すると、歯周組織が破壊され、歯ブラシの時に出血してきたり、歯がグラグラしてきたりします。
歯周病治療のほとんどが、その進行を止める治療法であるのに対し、歯周組織再生療法とは、失われた歯周組織を回復できる、いわば時計の針を逆回しにする治療法です。代表的な治療法として「骨移植術」「GTR法」「エムドゲイン療法」があります。
この治療法がうまくいけば、他院で「この歯は抜かなければなりません」と言われてしまった症例(重度歯周病)でも抜かずに保存できるケースも出てきます。ただし、適応症は正しく選択せねばなりません。
Pseudo Papilla Preservation Technique(PPPT)
歯周外科手術の一つで、特に審美領域における歯間乳頭(歯と歯の間にある歯肉)の形態と位置を維持しながら、歯周ポケットの治療を行う方法です。PPPTは、特に審美的に重要な前歯部などで行われることが多く、患者様の見た目の満足度を高めるために重要な技術です。
メリット
- 歯間乳頭の形態を保つことで、手術後の見た目を改善し自然な外観を維持できる
- 歯間乳頭は食物の詰まりを防ぐ役割があり、その形態を保持することで口腔機能を保つことができる
- 歯間乳頭の形態を維持することで、周囲組織の回復を促進し、手術後の治癒を早める
デメリット
- 細かい操作が必要なため、手術に時間がかかる
- 特定の症例にのみ適用可能であり、すべての患者に適用できるわけではない
- 保険適用外のため自費診療となる
Before
After
主訴 |
歯周病の治療をしたい |
治療期間・回数 |
2年・20回 |
治療詳細 |
院長が考案した独自の切開方法を用いて歯肉を切開後、歯肉弁を剥離、翻転、デブライドメントし、24%EDTAにてエッチング。エムドゲインを塗布し、骨移植を行った後に、歯肉弁を元の位置に整復して、垂直水平マットレス縫合変法にて縫合した。 |
費用(税込み) |
198,000円 |
デメリット・注意点 |
外科手術を伴うため、患者様の負担が大きい 治療後のメインテナンスを怠ると元に戻る可能性がある |
エムドゲイン療法
エムドゲイン療法とは、歯の発生過程に重要な役割を示す、エナメルマトリックスタンパク質という特殊なタンパク質を含む薬剤を患部に塗ることで、歯が作られる過程を再現することにより、歯周組織を再生させる治療法です。日本では1998年より臨床応用されています。これまで世界各国において100万件以上の臨床応用がなされておりますが、副作用の報告はなく、安心して用いることのできる材料です。
メリット
- 歯石やプラークが溜まりにくい状態になる
- 歯周病の進行を抑えられる
- 再発リスクも抑えることができる
デメリット
- 治療後のメインテナンスを怠ると元に戻る可能性がある
- 保険適用外のため自費診療となる
治療の流れ
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Step01
麻酔した上で、治療する部分の歯肉を切開します。
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Step02
歯石などの感染部を清掃し、取り除きます。
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Step03
骨を失った部分にエムドゲインゲルを塗布します。
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Step04
切開した歯肉部分を縫合します。
Before
After
主訴 |
歯がぐらぐらして気になる |
治療期間・回数 |
1年・20回 |
治療詳細 |
歯肉弁を剥離、翻転、デブライドメント後、24%EDTAにて2分間エッチングし、生理食塩水にて水洗後、エムドゲインを塗布、歯肉弁を元の位置に整復して縫合した。 |
費用(税込み) |
1歯 198,000円 |
デメリット・注意点 |
外科手術を伴うため、患者様の負担が大きい 治療後のメインテナンスを怠ると元に戻る可能性がある |
歯周組織再生療法は外科処置を伴います。
初期段階の歯周病であれば、外科処置をせずに治療を進めることができますので、自覚症状が無くとも(歯周病は悪化するまで自覚症状はほとんどありません)、定期的に歯科医院で診てもらう事を強くお勧めいたします。
骨移植術
歯周病が重症化すると歯を支える骨が溶かされてしまいますが、その失ってしまった骨を再生するために自分の骨や人工骨を移植する治療法です。一般的には、患部に近い場所にある歯槽骨を採取して移植します。
メリット
- 骨が再生することで歯ぐきの状態改善にも繋がる
- 日々の口腔ケアがしやすい環境になる
- 歯ぐきの位置の改善で見た目のバランスも良くなる
デメリット
- 骨の再生量には個人差がある
- 保険適用外のため自費診療となる
Before
After
主訴 |
歯がぐらぐらして気になる |
治療期間・回数 |
2年・10回 |
治療詳細 |
歯肉弁を剥離、翻転、デブライドメント後、24%EDTAにてエッチング、エムドゲインを塗布し、骨補填材としてBi0oOssを移植、歯肉弁を元の位置に整復して縫合した。 |
費用(税込み) |
エムドゲインを用いた歯周組織再生療法:198,000円、骨移植術:110,000円 |
デメリット・注意点 |
術後の創面を安静にするため、飲食やブラッシングなど日常生活において注意が必要 |
GTR法
GTR法とは、歯周組織を再生するための歯周組織再生療法のひとつです。メンブレンという特殊な膜を患部に挿入することで、歯ぐきの侵入を防ぎつつ、歯周組織が再生するスペースを確保します。
メリット
- 広範囲の治療に適している
- 歯肉が再生することで歯槽骨が埋まってしまうのを防げる
- 徐々に再生した歯槽骨は元の状態に近いところまで回復する
デメリット
- 骨の再生量には個人差がある
- 骨が再生するのには時間がかかる
- 保険適用外のため自費診療となる
Before
After
主訴 |
歯周病の治療をして欲しい |
治療期間・回数 |
1年・10回 |
治療詳細 |
歯肉弁を剥離、翻転し、デブライドメント後、バリアメンブレンをトリミングして欠損部を被覆し懸垂縫合。減張切開後歯肉弁を歯冠側へ移動して縫合した。 |
費用(税込み) |
198,000円 |
デメリット・注意点 |
バリアメンブレンの露出が生じる恐れがあるため、創面の保護が重要 |